たちかわ創造舎プレ企画vol.4 トークイベント

トーク+ブック・パフォーマンス
自然と健康を楽しむためのスポーツサイクル・ライフトークイベント

司会 倉迫康史 たちかわ創造舎チーフ・ディレクター
ゲスト北条晶 漫画『自転車女子はじめました』著者・イラストレーター&サイクリスト
ゲスト木嶋雅史 奥多摩トレックリング ツアーガイド
朗読 村上哲也、平佐喜子(以上Ort)

2015年5月16日(土)|14:00 – 16:00
国営昭和記念公園 花みどり文化センター講義室

イベント詳細

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プロローグ

今年8月のオープンを前にプレ企画としてたちかわ創造舎のチーフ・ディレクターの倉迫康史が、会いたい方をお招きしていろいろなお話を伺い、ゲストが薦める本の紹介&朗読もあり、舞台演出家でもある倉迫ならではのトークイベント。
vol.4では、施設に開設するサイクル・ステーションの魅力的な展開をめざして、ゲストに漫画家、イラストレーター&サイクリストの北条晶氏と奥多摩トレックリング ツアーガイドの木嶋雅史氏をお招きし、自転車の魅力や安全により快適に、自然や街中での走行を楽しむためにはどうすればよいのか、そしてそのためにサイクル・ステーション事業ができることは何かを話し合いました。自然に親しみ、健康とエコロジーの観点からも熱く注目されているスポーツサイクル。お二人にその思いを語って頂きました。

まず司会進行のチーフ・マネージャーの陽茂弥より、たちかわ創造舎の成り立ちや、企画・運営を担うNPO法人アートネットワーク・ジャパン、NPO法人日本自転車環境整備機構を紹介。次に倉迫康史が、柱となる「インキュベーション・センター事業」「フィルムコミッション事業」
を説明後、「サイクル・ステーション事業」の目的・目指すことなどを話しました。

はじめに

倉迫:立川市の自転車環境には多くの課題もあるし、同時に大きな可能性も秘めています。いまちょうど、自転車の第3次自転車総合計画を立川市が策定中で、たちかわ創造舎の「サイクル・ステーション」もその重要施設として名前が挙がっています。先日、市の方とお話する機会があったのですが、現在の市の自転車政策というのは、駐輪問題や安全講習がメインとなっているというお話でした。昨今、自転車の需要は変わってきていて、スポーツサイクルをする人が増えています。そうなってくると、そこに対する情報発信だとか、スクール事業というものをどこが受け持っていくのかということが問題になってきます。その時にたちかわ創造舎のような、民間であるけれども公共の場として機能をしていく施設でも、スポーツサイクルに重点を置いた事業を発信していきたいと思っているので、マナーや乗り方、ルートのアドバイス、さらにワークショップや交流スペースの提供を考えています。

皆さんもご承知だと思いますが、6月1日より自転車の法律が変わり、罰則が厳しくなります。歩行者と自転車をどのように共存させていくかを考える時に、スポーツサイクルの需要が増えことへの対応として、なるべくスピードを出させないとか、歩行者と自転車のスペースを分けるなどいろいろと整備して行こうということで、今回の法律改正になったと思います。自転車というものが、いわゆる健康的なスポーツの楽しみであると共に、どのように安全・安心を守って行くかということが、特に立川市のような郊外の都市には重要な課題になってきています。その課題に取り組む施設として、たちかわ創造舎の「サイクル・ステーション」があると思っていただきたいと思います。とは言え、今日は堅い話というよりも実際にロードバイクに乗っている自転車愛好家の皆さんはいまの自転車を取巻く環境をどのように思っているのか、また実際にどういった活動をされているのかをお聞きしたいということでこのお二人をゲストにお招きしました。

倉迫康史チーフ・ディレクター

倉迫: ではゲストのお二人こちらにどうぞ。一言ずつ自己紹介をお願いします。

木嶋:立川市に住んでいて奥多摩の方でサイクリングツアーをしている木嶋と申します。今日はよろしくお願いします。

北条:今日は声がかれてしまってお聞き苦しくてすみません。漫画家の北条晶と申します。
『自転車女子はじめました』というこの漫画を描いています。いろいろ楽しいお話ができればと思います。よろしくお願いします。

倉迫:この後お二人にはたっぷり自転車の楽しさをお聞きしようと思います。このプレ企画のトークイベントは今回で3回目なのですが、毎回ゲストの方に一冊本を選んで頂いています。皆さんに紹介したい本、または自分自身に影響があった本、大事にしている本を俳優が朗読するというブック・パフォーマンスを行っています。今回、北条さんに選んで頂いたのは、黒柳徹子著の『窓ぎわのトットちゃん』、木嶋さんには礒井純充著の『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』です。抜粋したものをそれぞれ10分位ずつ朗読し、その後、なぜこの本を選んだのかをお二人にお伺いしたいと思います。

北条晶氏と木嶋雅史氏を交えて

ブック・パフォーマンス

北条晶氏のセレクト本
『窓ぎわのトットちゃん』

黒柳徹子 著
講談社刊
朗読:平佐喜子(Ort)

女優・タレントの黒柳徹子による自伝的物語。著者の黒柳が通学したトモエ学園を舞台に自身の小学校時代や学園独自のユニークな教育方法が描かれている。世界35か国で翻訳をされている大ベストセラー作品。

平佐喜子

木嶋雅史氏のセレクト本
『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』

礒井純充 著
学芸出版社刊
朗読:村上哲也(Ort)

カフェや病院などの様々な場所に本棚を作り、人々が交流する図書館「まちライブラリー」。その提唱である著者が、本を介して育むコミュニティ作りを120にも及ぶ実践例とともに紹介した書籍。

村上哲也

ブック・パフォーマンスの感想/この本を選んだ理由

倉迫:本日のゲストお二人に選んで頂いた本を一部抜粋して朗読をしました。いかがだったでしょうか。

北条:そうですね。初めて生でパフォーマンスを聞かせて頂いて、ありありとその当時のトットちゃんの様子が私の目の中に浮かんできて、トットちゃんが泣くところは私も本当に泣いてしまいそうで、なんとか我慢をしました。

木嶋:朗読で聞くと自分でその本を読んだ時には読み流していたところが表現されていて楽しくなってきました。奥多摩の小学校には自分自身も行っているのですけれども、その時の様子がフラッシュバックしてきて、とても良かったです。

倉迫:では改めて、お二人になぜこの本を選んだのかをお聞きしたいと思います。

北条:本を選んでほしいと言われた時に二冊浮かびました。一冊は『ドラエもん』で、もう一冊は馬と洋服ダンスの中に入っていくと別の世界が開いて旅に出られるという本です。でも探し出せなかった。その時ぱっと目に入ってきたのが、『窓ぎわのトットちゃん』で、あ、そう言えばトットちゃんの舞台も学校だったし、今度サイクル・ステーションができるのも学校。もうこの本が読んでくれと、私に言っているのではないかと思ってこの本にしました。トモエ学園はいまは廃校になってしまっているのですけれども、この学園は思い出としてこの本を読まれた人の心の中に残っていると思います。今度、サイクル・ステーションができる学校は、廃校にならずに復活して残るそうなので、それはとても楽しみにしています。

倉迫:そうですね。どちらも廃校になってしまった小学校ですね。

北条:はい奇遇にも。トモエ学園があった自由が丘は多摩川の下流に近いところにあって、いまは自由が丘のピーコックというスーパーマーケットになっていますが、記念碑が立っているので、ぜひ自転車に乗って行ってみてください。そこを上って行くと自転車ショップのビアンキもあるので、そこもぜひご興味があれば。今回は本の中から「大冒険」を選ばせていただいたのですが、同級生のやすあきちゃんが今まで登れなかった木を一歩を踏み出すことで登ることができて、トットちゃんは自分が見せて上げたかった景色も見せてあげることができたというとても濃密な時間を一緒に過ごすことができました。この一歩を踏み出すという勇気というのはとても大変なことだと思うのです。それは自転車にも置き換えることができて、例えばロードバイクですね。ハンドルはママチャリに比べれば前傾姿勢ですし、ペダルは小さいしタイヤも細い。立つのも走るのもお値段も大変。最低でも10万はかかりますので。ですから自転車を始めたいと思っている方はこの界隈にもたくさんいらっしゃると思うのですがなかなか難しいですよね。だから自転車でもトットちゃんのような背中を押す人がいて、やすあきちゃんが背中やお尻を押されて脚立に上れたように、木嶋さんのような自転車普及に努力をされている方の力を借りて自転車に乗ってほしいなと思いました。この本はトットちゃんと同じ年の小学校1年生の時に私が初めて読んだ本でとても思い出深い一冊です。皆さんまだ読まれていないようでしたら、幼い心にまた戻れるのでぜひ読んでみてください。

木嶋:まず著者の礒井さんが奥多摩トレックリングツアーに参加してくれて、案内した奥多摩をとても気に入ってこの本の中で奥多摩のことを紹介していること。二つ目に本を使って人を繋げていくという活動をしている人がいるということを紹介してみたかったから。そして三つ目が廃校のリノベーションとたちかわ創造舎での活動がかなりリンクすると思ってこの『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』を選びました。

倉迫:実際に読んでとても共感しました。ライブラリー、あるいは本を通して人が出会っていく、本を中心に映画や芝居、美術のことに話が広がっていく。また一緒にキャンプをしたりバーベキューをしたり、自転車で出かけたりと色んな可能性に拡がり繋がっていく。

たちかわ創造舎にも3つの事業があって一見バラバラと感じるかも知れませんが、実は繋がっているところがあって、それは人と人とが出会うということと、経済とは少し離れたところにあるということ。それは私たちが暮す普段の生活とは少し離れたところにあって、実は休日だとか少し空いた時間を豊かにしてくれると思うんです。たとえば舞台芸術や本、自転車であるとかですね。これが3つの各事業に共通しています。たちかわ創造舎の中で色々な方向性の違う文化や専門家が出会い、思いがけないコラボレーションを生み出していくということも目指していきたいと改めて思いました。すごくよい本を紹介していただきありがとうございました。

木嶋雅史氏の自己紹介風景

北条晶氏の自己紹介風景

ブック・パフォーマンスの後はゲストが映像を交えて改めて自己紹介。奥多摩トレックリングツアーガイドの木嶋さんは、ツアーの概要、実際に行われた夏の日原鍾乳洞や秋の倉沢のひのきなどの大自然の中で行われたトレックリングツアーをお話頂き、続いて北条晶さんは、漫画『自転車女子はじめました』の中に収録されている2012年伊豆石廊崎、2014年しまなみ海道の取材風景から始まり、初北海道の函館~ニセコ峠~札幌の旅、ツールド三陸2014など、実際に参加したコースのなどを紹介。お二人からサイクリングの魅力を語って頂きその後トークイベントを始めました。

トーク 漫画『自転車女子はじめました』から-自転車談義-

倉迫:北条さんの漫画『自転車女子はじめました』を、たちかわ創造舎でサイクル・ステーション事業をやることになった時に勉強をしようと思って買ったんです。読んでいくうちにすごく自転車に乗りたくなったんですね。その乗りたくなるという後押しをしてくれたページがありまして、それを皆さんにご紹介しようと思います。まずはこれですね。【大事に乗れば何十年持ちます】。これはびっくりしました。ロードバイクの場合は最低でも10万円をかけないとだめだと言われていて、そんなにかけるのはな…と思っていましたから。最近では1万円もしない自転車があって。でもやはり何十年も乗れる自転車があるってよいなと思いました。大事にする価値があることがわかりました。
北条:いま、私の自転車がそこに展示をしてあるのですが、フレームは買った当時のものです。

【大事に乗れば何十年持ちます】の一コマ

北条晶氏の愛車

倉迫:正直に言いますと私45歳なんですね。45歳で自転車デビューしてよいのかと。

木島:60歳を過ぎてデビューされる方もいますし、僕は88歳の方とも一緒に走っています。

倉迫:実は大学生のときバイカーだったんです。免許を持った最初の夏に北海道を一周しているんです。稚内では嵐に巻き込まれて入院したりしました。18歳の頃でもう25年ぐらい前なんですが当時の僕にとっては大冒険だったんです。もうひとつ紹介したいページがありまして、「では買うとしたら何がいいんだろう」と考えていたところ【自転車を買いたい】というページを読みました。ロードバイクとかクロスバイクとかあって、もちろん見みたことはあるのですが、ロードバイクに乗っている人は特殊だと思っていたんですね。でも普通に買えることを知って本当に何も知らなかったんだと痛感しました。北条さんはロードバイクですよね。

北条:はい。ロードバイクです。でも前はクロスバイクに乗っていました。クロスバイクで湯河原まで行った時に、ロードバイクに乗りたいなと思って、その勢いで買いました。

倉迫:そんなに乗り心地って違うものですか?

北条:クロスバイクもママチャリに比べたら、すごく速いと思ったのですが、湯河原に行くにはちょっと疲れる。この先にはロードバイクというものがあるらしいぞ、だったらよし!とロードバイクを買ってみました。

倉迫:木嶋さんはいかがですか?

木嶋:スピードを出すより安心してどこへでも行ける方がよいので、僕はクロスバイクですね。
マウンテンバイクでもよいのですが基本的には舗装されている道を走ることが多い。出せる速度も3~5キロ違ってくるので。

北条:マウンテンバイクはギアが小さいので小回りが利く。坂道の上りは強いのですが、スピードが出ないので平坦な舗装道路だとちょっと遅いです。普通に走るならクロスバイクが取っ付き易いな。その先が見たくなったらロードバイクですね。

倉迫:隣のページでは女性向けのスポーツサイクルについても触れています。そう言われてみると街で可愛いウェアを着て走っている女性が増えたなと思っていました。

北条:今日サンプルに持ってきましたが、ほんとに昔は女性のウェアがなく、当時買ったものはダサくて。今はとても可愛いウェアがいっぱい出ているので、毎年新作が出るのでありがたいんですけれども、やはり買ってしまうんですよね。原稿料は全部ウェアや自転車のパーツに使ってしまっています。

倉迫:ちなみに一着おいくら位でしょうか

北条:ピンキリですが5,000円〜2万円。ブランドによって違います。

倉迫:木嶋さんは気に入ったサイクル・グッズはありますか?

木嶋:ぼくは自転車に乗る時はあまりモノを持って行かないんですが、強いて言うならカメラですね。自転車とカメラはすごく相性がよい。「こんなところに行って来た」と言えるのでカメラはいつも持っていますね。

倉迫:実はサイクル・ステーション事業でやってみたいことがあるんです。たちかわ創造舎が多摩川沿いにあることもあり、自転車がよく通るんですね。創造舎に立ち寄っていただいた際に、“今日のとっておきの一枚”を残してもらえないかと思っています。そうすると行ったことのない場所を目にした人が、今度行ってみようと思ってくれるかも知れない。それがサイクリスト同士の情報交換になればよいですよね。

トーク 自転車の楽しみ方

倉迫:“自転車女子”という言葉はとてもキャッチ―でよい言葉だなと思っています。“自転車女子”という楽しみ方はどういうものがあるでしょうか。

北条:まず先程お話したウェア。ファッションも楽しめる。またどんなに食べても罪悪感に陥らない。自転車に乗って移動すればその分自転車に乗って帰るので太ることはありません。むしろ減るぐらいです。有酸素運動なのでマラソンに近いのですが、マラソンより足への負担が少なく長距離長時間乗れる。そういう面でカロリーが消費されると思います。

倉迫:自転車レースなどを見ていると、飲食をしながら走るっているシーンを見ることがあります。あれは普通のスポーツにはありませんよね。

北条:そういうこともたまにします。でも一般の公道を走っている時はしないですが、飲み物
は常に持っています。

倉迫:なぜお聞きしているのかというと、サイクル・ステーションで自販機を置くんですが、何を置いたらよいか検討中なんです。自転車に乗っている方のために何を用意したらよいでしょうか。この前、井村屋のスポーツ羊羹を見つけたんです。新作が出て吸える羊羹らしいんです。それってニーズがありそうですか?

北条:羊羹とお汁粉の間のようなものですか?よいかも知れないですね。羊羹だと剥いて手がべたつくので、ウィダーinのようなものがあるとよいと思います。

倉迫:ファッションとグルメというものを自転車を通じて楽しむことができると言うことですね。

北条:旅行にもつながりますね。

倉迫:輪行というんですよね。

北条:自転車の前輪と後輪をはずして大きな袋に入れて担いで行きます。大体、自転車自体は10キロぐらいです。

倉迫:僕の印象では、最近自転車に乗る女性が増えてきていると印象を持つのですが、実際はどうでしょうか。先程、漫画の影響もあると聞きました。

北条:はい。増えてきています。まずは私の漫画の影響だと思うのですが(笑)。…というのは冗談で。ほかにも色々な自転車漫画があってその中に『弱虫ペダル』という漫画もあるのですが、それと同じモデルの女性サイズの自転車が大変売れているそうです。

倉迫:『弱虫ペダル』は演劇にもなっているんですね。演出が西田シャトナーさんという昔劇団ピスタチオをやっていた方で、自転車のシーンをハンドルだけで表現しているのがおどろきです。

北条:私は動画で見たんですが、手でハンドルを持ってこうして斜めに傾げてカーブを演出していました。

倉迫:西田シャトナーさんは、人間の身体ひとつで全てを表現するという身体表現のプロフェッショナルです。成程、そういう手があったのかと思いとても納得しました。

トーク 立川市の自転車環境・自転車事情

倉迫:続いて立川市民として木嶋さんのご意見はありますか?

木嶋:立川市は都心に比べれば道も広いですし車の量も信号も少ないので安心して走れますね。ただ個人で自転車に乗って楽しんでいる方はいますが、まだみんなで楽しもうという感じになっていないと思います。僕は去年まで市内の施設「子ども未来センター」で働いていたのですが、今のところ、なかなか子連れの方に「道路に出た方がよいですよ」とは言いにくい状況です。これから立川市がどのように自転車環境を変えていくかですね。やれることはたくさんあると思っています。

倉迫:立川市の特徴っていうのは駅前は商店が多いのですが、木嶋さんがいらした子ども未来センターや立川市役所などの主要施設が駅から離れています。その最たるものがたちかわ創造舎。駅からバスに乗って7分近くかかります。僕らがたちかわ創造舎を運営する時に考えているのが、街全体が自転車で移動しやすい町にしていきたいということ。立川まで車で来てそこから歩くということもありますが、僕らは立川市を自転車文化都市にすると掲げていて、すぐにヨーロッパのようになるのは難しいと思うのですが、自転車で移動しやすい街作りを立川市に訴えかけたいと思っています。立川には競輪場があったりして、自転車というものに先進的な取り組みをしている街になっていけばよいなと思っています。そしていろいろな文化施設を回遊できるようにしていったら、街として楽しいですよね。

木嶋:そうですね。立川は中央線と西武線を利用して横に2本大きな移動手段があり、縦は多摩都市モノレールがあります。でも斜めの動きがしにくいところがあります。そこで僕が実現できればよいなと思っているのが、サイクルシェアリングです。横浜にはベイバイクがあると思うのですが、横浜と立川の条件はかなり似ています。それはメインスポットが駅を中心に少し離れたところに点在していること。大きな坂が少ないので自転車で移動しやすいこと。また住んでいる人のほかにショッピングなどに訪れる人が多いこと。立川駅はJR東日本の駅の中で乗降客が15番目に多いんです。横浜のベイバイクが成功したように、立川は道が広いので、うまくいくのではないかと思っています。

倉迫:木嶋さんの目から見てこうなったらよいなと思うことはありますか?

木嶋:そうですね、僕から見て思うことは走行しやすいように道路に自転車走行空間を作るための努力ですね。地面に少し青い線を塗るだけでも違ってくると思います。そういうことをしながら、乗っている方の意識付けをすることですね。

トーク 6月1日から改正道路交通法の施行

倉迫:やはりそうですね。なぜお聞きしたかというと、6月1日から道路交通法の改正があり、自転車は鋪道のある道では原則として車道を走らなくてはいけなくなります。当たり前といえばそうなのですが、例えばママチャリに乗っている方はぜんぜん考え方が違っていて、反対に自転車は鋪道を走るものだと思っている方が未だに多くいると思います。また逆走する方も多くいて。それが今度から全部取締の対象になります。もうひとつ驚いたのは、二人でおしゃべりして併走をするのもアウトです。この法改正によって僕が高校生の通学の時に自転車に乗って、青春に一ページとして好きな子と自転車で走るということを自然としていたのに、それが全部違反になってしまうんですよね。

北条:マンガやアニメの表現でも使えなくなっていますしね。

倉迫:ええ、使えなくなってしまいます。並んで帰るとか、これは危険だとわかっていますが、音楽を聞きながらの走行も危険行為となる可能性があるというのをつい最近知って、ではそのための整備はどこまで行き届いているのだろうかと疑問を感じています。

北条:整備がまだ追いついていない感がありますね。私の家の近所の幹線道路などは、自転車道があって走りやすい。それでも一定の区間を過ぎると昔のままの細い道になったりして、その辺は土地の問題もあって難しいですね。

倉迫:だからたちかわ創造舎では、サイクリストや街乗りをする皆さんの意見を吸い上げて、立川市に提言していければよいなと思っています。

トーク ゲストのお薦めスポットの紹介

倉迫:ではここでせっかくなので、お二人のお薦のスポットを教えて頂けたら。

北条:そうですね。東扇島という島があるんですけれども、川崎の千鳥町から東扇島へ抜ける海底トンネル(川崎港海底トンネル)があって、川崎から多摩川の最河口にある島なんです。そこに渡るためには工業地帯を抜けて小さな公園があって、そこに人道トンネルの入口があります。車からは隔絶されていて自転車を降りて通らなければ場所。ただまっすぐな人のいない四角い1㎞の路で怖い感じでおもしろいところです。

倉迫:ちょっと不思議な空間で、映画の撮影にも使えそうなところですね。木嶋さんはいかがですか?
木嶋:僕が立川から行くのに気に入っている場所は多摩湖です。それも夜に行くと、多摩湖に架かる橋に点々とライトがあって、まるで滑走路を走っているみたいになるんです。

北条:北の多摩湖、南の羽田空港ですね。

倉迫:自転車に乗るということは何か日常とは違う世界にトリップしていくという感じがしますね。ここで公約します! たちかわ創造舎は8月にオープンして10月に本格始動をします。それまでに自転車買いますのでまたその機会に報告します。さて最後になりますが、2020年に東京オリンピックがあり、各地でスポーツへの関心が高まり、立川市も産業文化部から産業文化スポーツ部に変わりました。そのスポーツの中に自転車が入ってきたらよいなと思っています。そこで2020年に向けて自転車を取り巻く環境やたちかわ創造舎にこんなことを期待したいということがあればぜひお話し頂けますか?

北条:先程もお話しましたが、自転車レーンの整備がもっと進むとよいかなと思います。ママチャリもスポーツバイクも自動車もお互いにストレスがない枠組みとルール作り、もちろん、お互いのマナーの向上も必要だと思いますが、そういう気持ちも含めた整備がどんどん進めばよいと思います。たちかわ創造舎付近には自転車コースがあって、川沿いを散歩している人からも見えやすいので、例えば自転車が外に飾ってあったりしたら、ロードバイクに興味を持ってもらえて自転車への見解も深まると思います。またロードバイクは怖いと思っている方に、「これから乗ってみようかな」と思ってもらえるイベントなどが増えるとよいなと思います。

倉迫:そうですね。お互いを知らないと寛容になれないと思うので、どういうルールでサイクリストが走っているのかということを歩行者にも伝える機会があるとよいですね。それをたちかわ創造舎がカバーをする必要がありますね。

北条:はい。たちかわ創造舎のカフェなどでお互いにコミュニケーションがとれるようになって自然と繋がっていくと良いですね。

木嶋:2020年に向けて東京都で自転車のインフラ整備が進んでいくんだろうと思っています。もうひとつは国際交流を頭に入れるのも必要かなと。ロードバイクをよく知っているヨーロッパなどの外国の方が日本に来て交流してその魅力を伝えてもらえれば嬉しいです。

倉迫:先日事前に昭和記念公園に行って、サイクリングコースを走ったのですが、レンタサイクルはとても人気でした。よいなと思ったのは子供たち向けにもMTBがあったこと。大人用は残念ながらなかったのですが、今後何台か用意してもらって僕らもスポーツサイクルが楽しめ、さらに講習会なども出来て、スポーツサイクルを身近に感じる機会が各所でもっと増えたらよいと思いました。

トーク 立川競輪場で活躍されている飯島淳選手、山崎充央選手を交えて

山崎充央選手(左) と飯島淳選手(右)

倉迫:実は立川といえば、立川競輪があるのですが、立川競輪で活躍中の山崎充央選手と飯島淳選手が観客席にいらっしゃいますので、ちょっと今ご紹介してもよいでしょうか。せっかくですので感想をいただけますか。

山崎:競輪というと少し隔離されたような異質な空間と思っている方も多くいらっしゃると思うんですが、僕たちも去年ぐらいから少しずつ、競輪への興味を持って頂けるように地域のお祭りなどにも参加しています。自転車はオリンピック競技にもなっているし、女子競輪という新しい風も吹いています。今後は立川市と協力して、先程話にもありましたがヨーロッパの方たちのように選手と一般の方との交流を深めたいと思っています。僕らとしては、まず競輪というものを知ってもらいたい。ギャンブルですが、国が認めたものなので、いかがわしいものではありません。まずは競輪というものを知って頂きたく、今日もこういう会に参加させて頂きました。ぜひ今後ともどうぞよろしくお願いします。

飯島:たちかわ創造舎がサイクル・ステーション事業をするということを今日知りました。勉強不足ですみません。これから僕たちは競輪をバックに活動をしている選手なので、せっかく立川にこのような施設ができるのですから、自転車を通して地域の活性化に繋がるような活動ができたらとよいなと思っています。

倉迫:僕のような自転車を通勤通学でしか使ってこなかった人間にとっても、自転車というキーワードでいろいろな可能性があるということを、サイクル・ステーション事業を考える中で実感しています。今の社会で自転車がいろいろなものを結び付けていったらよいなと思いますが、その思いがあっても場がないとなかなか結びつかないですよね。そういう場にたちかわ創造舎がなるように、これからがんばっていきたいなと思います。本日は長時間ありがとうございました。